「DAT企業って日本にもあるの?しかもビットコイン以外もあるの?」
あります。しかもかなりバラエティ豊かです。

日本版のDAT企業は「トレジャリー企業」と呼ばれることが多いです
この記事ではそちらの呼び方で統一します(DAT企業=トレジャリー企業のことです)
前回の記事でDAT企業の基本・ストラテジー社の仕組みを解説しています。
👉 DAT企業とは?ストラテジー社がビットコイン価格に与える影響を解説
日本のトレジャリー企業は約10社・銘柄もビットコインだけじゃない
日本市場では現在、約10社の上場企業がトレジャリー戦略を採用しています。
保有する暗号資産もビットコインだけではなく、ソラナ(SOL)やイーサリアム(ETH)を財務戦略に組み込む動きも本格化しています。

日本のトレジャリー企業の主な保有銘柄:
ビットコイン(BTC)系:
メタプラネット・リミックスポイント・
ANAPホールディングス・Bitcoin Japanなど
ソラナ(SOL)系:
モブキャストホールディングス
イーサリアム(ETH)系:
一部企業で検討・採用が進む
圧倒的な存在感:メタプラネット(ビットコイン系)
日本のトレジャリー企業の中で圧倒的な存在感を誇るのがメタプラネットです。
国内上場企業のビットコイン総保有量49,302BTCのうち、メタプラネットが約87%を占めています。
もともとホテル運営・メディア事業を手がけていた会社でしたが、2024年4月にビットコイン・トレジャリー戦略の導入を発表。「日本版ストラテジー」として一気に注目を集めました。
2026年7月時点でBTCの保有量が43,000BTCにのぼり、世界3位の規模に達しています。
メタプラネット 基本データ(2026年7月時点):
・保有量:43,000BTC(国内1位・世界3位)
・目標:2026年末10万BTC・2027年末21万BTC
・累計取得額:約6,592億円
・東証スタンダード市場上場
独自の戦略「第2フェーズ」が壮大

CEOのサイモン・ゲロヴィッチ氏は、元ゴールドマン・サックスのトレーダーという経歴を持ち、英語と日本語を駆使しながらXで積極的に情報発信を続けています。その発言はSNSで毎回話題になります。
同氏がXで打ち出す戦略の規模感が、業界内外で注目を集めています。
「フェーズ1は可能な限り多くのビットコインを蓄積する。目標は『脱出速度』に到達すること」と述べており、これは大量のビットコインを蓄積し、競合他社が追いつくのが難しくなる地点を指します。
さらに「フェーズ2」として、ビットコインを用いて利益を上げる企業を買収するという戦略も明らかにしています。ビットコインを担保に資金調達して企業買収に使うという、これまでにない発想です。

「BTCを貯めて→それを担保に企業買収」
BTCをお金のように使う発想が斬新です
「ビットコインホテル」や「メタプラネット証券」も
メタプラネットはホテルを世界初のビットコインに特化した「ビットコイン・ホテル」として再開発する計画も進めています。さらに証券会社の買収による「メタプラネット証券」の設立も発表されており、ビットコイン企業が証券会社を持つという前例のない動きも注目されています。
注目企業①:モブキャストHD(ソラナ系)
日本初のソラナ・トレジャリー企業
東証グロース上場のモブキャストホールディングスは2025年10月3日、日本の上場企業として初めて「ソラナ・トレジャリー事業」への参入を発表しました。
もともとはモバプロ・モバサカなどのソーシャルゲームを手がけた会社ですが、2025年以降はWeb3・ソラナ事業を新たな柱に据えています。
モブキャストHD 基本データ(2026年3月時点):
・保有量:20,800 SOL超
・累計取得額:約4.5億円
・ステーキング報酬:保有開始4.5ヶ月で300 SOL超
・BITPOINT・OKJと業務提携
・SOLバリデータ運用も展開中
ビットコイン系との大きな違い:ステーキング収益

ソラナ・トレジャリーのユニークな点は「持っているだけで増える」ステーキング収益にあります。ビットコインはステーキングに対応していませんが、ソラナは年率5〜7%程度の報酬が得られます。
モブキャストHDはこの報酬を再投資することで複利的な効果を狙っており、さらにSolana Foundation Delegation Program(SFDP)のライセンスを取得してバリデータ運用による収益も積み上げています。

🐱💬 「ビットコインは「価格上昇だけが収益源」ですが、ソラナは「保有しながらステーキングでも稼げる」
これがアルトコイン・トレジャリーの面白いところです。」
注目企業②:その他の日本のトレジャリー企業
リミックスポイント(ビットコイン系)
電力・エネルギー事業を本業としながらビットコインを財務資産として保有する企業です。メタプラネットに次ぐ国内2番手グループとして注目されています。
ANAPホールディングス(ビットコイン系)
ファッションブランドとして知られるANAPがビットコイン・トレジャリー戦略を採用。業種の異なる企業がビットコインに転換した代表的な事例です。
Bitcoin Japan(旧・堀田丸正)(ビットコイン系)
2025年11月に社名を「Bitcoin Japan」に変えた堀田丸正は、和装用品などで知られ1861年創業という老舗企業です。160年以上の歴史を持つ会社がビットコイン企業に転換したというインパクトは業界で大きな話題になりました。

1861年創業の老舗和装会社がビットコイン企業になる
これが日本のトレジャリーブームの象徴的な一幕です
増資をめぐる株主との対話:Xで議論を呼んだ理由
日本のトレジャリー企業はSNSで大きな議論を呼んでいます。火種になったのが増資・希薄化をめぐる株主との意見の相違です。
「阿鼻叫喚」と称された2025年9月の増資
メタプラネットが2025年9月に発表した大規模な新株発行価格の決定は、多くの株主に衝撃を与えました。発行価格は1株553円と前日終値から約10%のディスカウントで設定され、調達額は約2,041億円。そのうち1,837億円をビットコインの追加購入に充てると説明しました。
SNSでは「可哀想なメタプラホルダーのために」と題した解説投稿が拡散し、「既存株主を軽視している」「錬金術だ」との声も上がりました。
株主から懸念の声が上がった主な理由:
・増資のたびに既存株主の持ち分が薄まる(希薄化)
・発行価格が現在の株価より安い(ディスカウント発行)
・MSワラントは証券会社が空売りしながら行使する
ため株価が下がりやすい構造
サイモンCEOの考え方
こうした意見に対し、サイモン・ゲロヴィッチ氏は「短期的な株の利益が目標ではない」とビットコイン戦略継続の重要性を強調し続けています。
「ビットコイントレジャリー戦略は短期的には市場や投資家から理解されにくく、誤解される覚悟が必要だ」と述べ、長期的な視野での判断を重視する姿勢を崩していません。


「今の株価より10年後のビットコインを信じてほしい」というメッセージです
長期視点か短期視点か、どちらを重視するかで評価が変わります
アクティビスト(物言う株主)の動き
日本全体でアクティビストの活動が活発化している中、トレジャリー企業も例外ではありません。2025年において日本で活動中のアクティビストによる日本株投資額は13兆2,000億円と前年比36%増加し、株主提案を受けた企業数は75社と過去最高を更新しました。
「本業をおろそかにしてビットコインを買い続けるだけでいいのか」「増資による希薄化を止めてほしい」という声が株主から上がる一方、「長期的なビットコイン戦略を応援したい」という声との間で議論が続いています。
「苦し紛れ」トレジャリー問題
日本のトレジャリーブームには光と影があります。
計30社の上場会社がビットコインの購入・保有を発表しましたが、そのうち19社の有価証券報告書に経営危機を示す「継続企業の前提に関する注記」が記載されているという指摘があります。
つまり「本業が苦しいからビットコインに賭けた」という企業が相当数含まれているということです。ビットコイン戦略の発表後に一時的に株価が高騰するが、その後下落する傾向があるとも指摘されています。

「本業が厳しいから暗号資産に賭ける」という企業は要注意です
ビットコインが下がればそのまま倒産リスクもあります。投資する前に財務内容の確認が必須です
まとめ
- 日本のトレジャリー企業は約10社・メタプラネットが国内BTC保有の87%を占める
- 保有銘柄はビットコインだけでなくSOL・ETHも登場し多様化が進む
- メタプラネットは「ビットコインホテル」「メタプラネット証券」など独自戦略を推進
- モブキャストHDは日本初のソラナ・トレジャリー企業でステーキング収益も活用
- 旧堀田丸正(1861年創業)がBitcoin Japanに社名変更という衝撃的な転換もあった
- 2025年9月の大規模増資が株主との間で大きな議論を呼んだ
- 30社中19社が経営危機の注記あり・投資前の財務確認が必須
- JPXの規制動向も引き続き注目ポイント

日本のトレジャリー企業は「夢がある」一方でドラマも多い
長期で応援するか・リスクを見極めるか、よく考えてから向き合いましょう



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