海外CEX(セックス)の次はDEX!?Hyperliquidは日本から使えなくなるのか――Perpsの歴史を追ってみた

はじめての暗号資産

最近、暗号資産界隈でよく聞くようになった「Perps」や「Perp DEX」。

特にHyperliquid(ハイパーリキッド)の急成長によって、

「これからは海外CEXではなくPerp DEXの時代では?」

という声も増えてきました。

そもそもPerpsとは何なのか。 なぜCEXではなくDEXが注目されるようになったのか。 そして、日本からHyperliquidを使う未来はどうなるのか。

正直に言うと、私も最初は「無期限先物」という言葉だけで頭が痛くなりました(笑)。 でも仕組みを追っていくと、意外とシンプルな話でつながっているんですよね。 Perpsの歴史を追いながら、一緒に考えてみましょう。

すべては「先物から満期をなくす」ところから始まった

満期のカレンダーに追われるトレーダーと、それを取り払うBitMEXのPerpetual Swap誕生の図解
満期のカレンダーに追われるトレーダーと、それを取り払うBitMEXのPerpetual Swap誕生の図解

Perpsの歴史をたどると、2016年までさかのぼります。

普通の先物には満期があり、期限が来れば決済されます。 そこでBitMEXが広めたのが、名前のとおり満期をなくしたPerpetual Swap(無期限先物)でした。

理由はシンプルで、満期のたびにポジションを閉じたり乗り換えたりするのは面倒だからです。 代わりにFunding Rate(資金調達率)という仕組みを使い、PerpsとBitcoinの現物価格が大きく離れないよう調整します。

こうして、

満期なし・ロングもショートもできる・レバレッジも使える

という、24時間365日動く暗号資産と相性のいい金融商品「Perps」が広がっていきました。 Perp(パープ)そのものの仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、Perp DEXの仕組みを初心者向けにまとめた記事もあわせてどうぞ。

Perpsは海外CEXの人気商品になった

海外CEXの取引画面を囲み『満期なし』『ショートできる』『レバレッジも』と盛り上がるトレーダーたちの図解
海外CEXの取引画面を囲み『満期なし』『ショートできる』『レバレッジも』と盛り上がるトレーダーたちの図解

Perpsはその後、急速に普及します。

値上がりだけでなく値下がりも狙える。レバレッジも使える。そして満期を気にしなくていい。

この使いやすさに加えて、USDTやUSDCなどのステーブルコインが普及したことも後押しになりました。 それらを担保にPerpsを取引するスタイルが一般化し、Binanceなどの海外CEXにも広がって、Perpsはクリプトトレーダーの定番商品になっていきます。

ただし、取引するには基本的にCEXへ暗号資産を預ける必要があります。 CEXとDEXの違いを整理しておきたい方は、DEXとCEXの違いを解説した記事を先に読んでおくと、このあとの話がスッと入ってくると思います。 この「預ける」という前提が、のちに大きな問題として意識されることになります。

FTX崩壊。そして「PerpsもDEXでやればいい」

2022年FTX破綻でCEXへの預けっぱなしに不安を覚えるユーザーと、自分で資産を管理しながらDEXで取引するユーザーを対比した図解
2022年FTX破綻でCEXへの預けっぱなしに不安を覚えるユーザーと、自分で資産を管理しながらDEXで取引するユーザーを対比した図解

FTXの破綻によって、

「取引所へ暗号資産を預けっぱなしで本当に大丈夫なのか?」

という問題が改めて注目されました。

サトシ(偽)
サトシ(偽)

預けたお金が、実は勝手に使われていた……。この一件で、業界の空気が一気に変わったんですよね。

そこで存在感を増したのが、DEX(分散型取引所)です。 自分で暗号資産を管理しながら取引できるなら、PerpsもDEXで取引すればいい、という発想です。

ただ、当時のPerp DEXには、取引速度や流動性、使いやすさなどでCEXに及ばない部分がありました。

資産は自分で管理したい。でもCEXのように快適に取引したい。

この二つをかなり近づけたのが、Hyperliquidです。

なぜHyperliquidはここまで伸びたのか

CEXの速さ・板取引・使いやすさと、DEXの自己管理・ウォレット利用が中央のHyperliquidへ合流する図解
CEXの速さ・板取引・使いやすさと、DEXの自己管理・ウォレット利用が中央のHyperliquidへ合流する図解

Hyperliquidはウォレットから利用できるPerp DEXでありながら、CEXに近い感覚で取引できます。 注文板があり、取引が速く、扱う銘柄も多い。

CEXの使いやすさ × DEXのセルフカストディ

を両立しようとしたわけです。 これによってPerp DEXは、DeFiの一ジャンルというだけではなく、海外CEXの代わりになり得る取引市場として存在感を増していきました。

そしてHyperliquidは、ここで満足せず、さらに取引市場を広げ始めます。

Hyperliquid、暗号資産の外へ

BTC・ETH・SOLから金や銀などのコモディティへ市場が広がり、遠くから規制当局が注目し始める様子の図解
BTC・ETH・SOLから金や銀などのコモディティへ市場が広がり、遠くから規制当局が注目し始める様子の図解

Hyperliquidは、暗号資産だけの取引所ではなくなりつつあります。 Perpsの仕組みを使えば、金や銀など、暗号資産以外の価格も取引対象にできるからです。

市場が広がれば、利用者も取引量も増える。 しかしその分、既存金融の領域へ踏み込み、規制当局からも無視されにくくなります。

つまりHyperliquidは、成長するほど規制リスクも大きくなる。 規制という毒を飲みながら成長しているような状態です。

海外CEXがダメならDEXへ?――本当にそうなるのか

海外CEXの利用制限に直面しHyperliquidを見つけて喜ぶユーザーが、国内CEXからの出庫確認ゲートで戸惑う3コマ図解
海外CEXの利用制限に直面しHyperliquidを見つけて喜ぶユーザーが、国内CEXからの出庫確認ゲートで戸惑う3コマ図解(※現時点でHyperliquidへの出庫禁止が決まったわけではありません)

ここからは、私個人の考察もかなり入ってくるパートです。

日本では海外CEXへの規制が強まり、国内取引所でも暗号資産の出庫管理を強化する動きが進んでいます。 このあたりの背景は、以前金融庁の「出コイン制限」について調べた記事でも詳しく書きました。

そこで、

「海外CEXが使えなくても、HyperliquidのようなDEXを使えばいい」

という考えもあります。 気持ちはよく分かります。私も一瞬「それで解決では?」と思いました。

ただ、金融庁が暗号資産を金融商品として制度の中へ取り込み、管理を強めていくなら、規制の届きにくい海外DEXだけが例外になるとは限らないんですよね。

サトシ(偽)
サトシ(偽)

Hyperliquid自体を禁止しなくても、国内取引所から送る部分だけ管理すれば、実質的には同じ効果になりますからね……。

ここからは予想ですが、将来的に、

国内CEX → Hyperliquid

への出庫にも、確認や制限が強くなる可能性があります。 もちろん、現時点でHyperliquidへの出庫が禁止されると決まったわけではありません。

「海外CEXがダメでもDEXなら無問題」と考えるのは、まだ少し早いかもしれませんよ。

Perpsは伸びる。でも海外DEXまで自由とは限らない

法整備が進む日本のPerps市場と、日本のルールというゲートの先にある海外Perp DEXへの道を対比した図解
法整備が進む日本のPerps市場と、日本のルールというゲートの先にある海外Perp DEXへの道を対比した図解

Perpsそのものは、今後日本でも法整備が進み、市場が広がっていく可能性があります。 レバレッジ取引の仕組みを先に押さえておきたい方は、レバレッジ・CFDの基礎をまとめた記事も参考にしてみてください。

ただし、

「Perpsが認められること」と「海外Perp DEXが自由に使えること」は別の話です。

暗号資産が正式な金融商品として制度に取り込まれるほど、規制の届きにくい海外DEXには、むしろ厳しい対応が取られる可能性もあります。

つまり、Perpsは日本でも広がる。 でもHyperliquidを今と同じように使えるとは限らない。 今後は、この2つを分けて見ておいたほうがよさそうです。

まとめ

Perpsはこれからも伸びていくと思います。

ただ、「Perp DEXの時代が来る」=「日本から海外DEXを自由に使える」ではありません。

Hyperliquidが世界でどこまで成長するのか。 そして日本から、その市場へどこまで自由にアクセスできるのか。 この2つは、別々に見ておいたほうがよさそうです。

サトシ(偽)
サトシ(偽)

「規制されるかも」で終わらず、「どこまでが規制されうるのか」を分けて考えるクセをつけておくと、この先も振り回されにくいと思いますよ。

筆者としては、Hyperliquidの動向そのものより、日本の「出庫管理」がどこまで強化されるかのほうが、実は本丸なんじゃないかと見ています。

Perpsやレバレッジ取引は上級者向けです。まずは現物取引に慣れておきましょう。

海外CEXやDEXの規制動向が気になる方も、まずは国内サービスの口座を持っておくと選択肢が広がります。

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