ビットコイン7.9万ドルへ急騰――米国で何が起きた?相場を動かした5つの材料

はじめての暗号資産

2026年8月19日から22日にかけて、ビットコインが一気に上昇しました。

6万ドル台前半〜半ばで推移していた価格は、20日に7万ドルを突破。その後も上昇を続け、22日には一時7万9,000ドルまで到達しています。

今回の上昇では、米国の金利動向、暗号資産政策、ETFへの資金流入、ショートポジションの清算など、いくつもの材料が重なりました。
今回の急騰を5つのポイントから整理してみます。

米財務省が長期国債の買い戻しを拡大

米財務省の長期国債買い戻し拡大から長期金利低下、ドル下落、ビットコインへの追い風までの流れの図解
米財務省の長期国債買い戻し拡大から長期金利低下、ドル下落、ビットコインへの追い風までの流れの図解

最初の材料になったのが、8月19日に発表された米財務省の方針です。

米財務省は、長期国債の買い戻し規模を約2倍に拡大すると発表しました。

これを受けて長期国債が買われ、米長期金利が低下。ドルも下落しました。

ビットコインは金利を生む資産ではないため、米国債の利回りが高いと相対的に不利になりやすい一方、金利が下がるとその逆風が弱まります。

6.7万ドル突破でショート勢の損切りが連鎖

価格上昇でショートの損失が拡大し買い戻し(損切り)と清算が連鎖してさらに上昇するショートスクイーズの図解
価格上昇でショートの損失が拡大し買い戻し(損切り)と清算が連鎖してさらに上昇するショートスクイーズの図解

価格上昇をさらに加速させたのが、ショートポジションの清算(強制ロスカット)です。

ショートは、価格が下がると利益になるポジションです。
当時は「まだ下がる」と見てショートしていた参加者が多く、6.7万ドル付近など上値の重要ラインにショートポジションが積み上がっていました。

ところが、ビットコインがその価格帯を突破。
ショート勢は損失が膨らみ、ポジションを閉じるために買い戻し(損切り)を迫られます。

価格上昇でショートの損失が広がり、買い戻し(損切り)が入ることでさらに価格が上昇し、別のショートも清算(強制ロスカット)される。これが連鎖したのが今回のショートスクイーズです。

8月19〜20日には、暗号資産市場で巨額のショート清算が発生しました。
米国債をめぐる材料で価格が動き始めたところへ、ショート勢の買い戻しが重なり、上昇幅が一気に大きくなったと考えられます。

6.7万ドル突破を境にショート清算が急増しショートスクイーズが発生した価格と清算高のチャート画像
6.7万ドル突破を境にショート清算が急増しショートスクイーズが発生した価格と清算高のチャート画像

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価格は上がったのにOIは減っていた

価格が上昇する一方でOI(未決済ポジション量)は減少し既存ショートの解消が進んだ様子の図解
価格が上昇する一方でOI(未決済ポジション量)は減少し既存ショートの解消が進んだ様子の図解

今回の値動きでもう一つ特徴的だったのが、ビットコイン価格は上昇しているのに、OIは減っていたという点です。

OI(Open Interest/未決済建玉)は、先物などにまだ残っている未決済ポジションの量を表します。
👉 詳しくは「BTCは価格だけ見ても分からない?OI・Funding Rate・清算(強制ロスカット)から相場を読む方法【前編】」

また、暗号資産ではPerpsも広く利用されています。Perpsは、満期のない先物のような取引です。
👉 詳しくは「Perp(パープ)とは?Perp DEX(無期限先物)の仕組みを初心者向けにわかりやすく解説」

今回の相場では、価格が上昇する一方でOIは減少していました。
そこへ実際のショート清算のデータを重ねると、新しいレバレッジロングが大量に積み上がったというより、既存ショートの損切りや清算による買い戻しが価格上昇を大きく加速させたと考えられます。

価格が上昇する一方でOI(未決済ポジション量)は減少し既存ショートの解消が進んだチャート画像
価格が上昇する一方でOI(未決済ポジション量)は減少し既存ショートの解消が進んだチャート画像

米国の暗号資産規制への期待も追い風に

クラリティー法案とCFTCによる規制整備への期待が市場心理の改善につながる様子の図解
クラリティー法案とCFTCによる規制整備への期待が市場心理の改善につながる様子の図解

20日から21日にかけては、米国の暗号資産政策に関する材料も加わりました。

トランプ大統領は、暗号資産市場のルール整備を目指すクラリティー法案の成立を議会に求めました。
さらに、CFTC(米商品先物取引委員会)も暗号資産市場の規制整備を進めています。

暗号資産市場にとって、ルールが曖昧な状態は大きな不安材料です。
「米国で暗号資産のルールが少しずつ明確になっていく」という期待は、市場心理の改善につながります。

今回の上昇では、金利低下やショートスクイーズに加えて、こうした政策面の動きもビットコインを支える材料になりました。

ETFへの資金流入も増加

8月17日から19日にかけてビットコイン現物ETFへの純流入額が拡大していく様子の図解
8月17日から19日にかけてビットコイン現物ETFへの純流入額が拡大していく様子の図解

さらに、米国のビットコイン現物ETFにも資金が戻ってきました。

純流入額は、8月17日が約2.98億ドル、8月18日が約1.89億ドル、8月19日が約5.17億ドルとなり、特に8月19日は大きな資金流入となりました。

上昇初期は、先物やPerpsなどのデリバティブ市場で買いが先行し、ショート清算によって価格が押し上げられました。
その後、ETFや現物市場にも買いが広がっています。
ショートの買い戻しだけで上昇したわけではなく、後からETFや現物の買いも加わりました。

22日には地政学材料も加わった

イランへの経済制裁報道を受けて国家や既存金融システムに依存しにくい資産としてビットコインが意識される様子の図解
イランへの経済制裁報道を受けて国家や既存金融システムに依存しにくい資産としてビットコインが意識される様子の図解

22日には、トランプ大統領がイランへの大規模な経済制裁を示唆しました。

金融制裁や地政学的な緊張が高まると、国家や既存金融システムに依存しにくい資産としてビットコインが意識されることがあります。
今回も、こうした地政学リスクを背景にビットコインへの資金流入が意識された可能性があります。

ただし、これは急騰の出発点というより、すでに強くなっていた相場を支える追加材料の一つです。

まとめ

米財務省の発表からビットコイン上昇、重要価格帯突破、ショート清算、ETF・現物買いを経て7.9万ドルへ至る一連の流れの図解
米財務省の発表からビットコイン上昇、重要価格帯突破、ショート清算、ETF・現物買いを経て7.9万ドルへ至る一連の流れの図解

今回のビットコイン急騰では、米長期金利の低下、ショートスクイーズ、米国の暗号資産政策への期待、ETFへの資金流入がほぼ同時期に重なりました。

特に19〜20日はショート勢の損切り・清算が上昇を大きく加速させ、その後はETFや現物買いも加わっています。

6万ドル台で停滞していたビットコインが、一気に7万ドル台後半へ。
ニュースをきっかけに相場のポジションが動き、それが次の買いを呼んだ。今回の急騰は、そんな流れが表れた相場でした。

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